勉強カフェ

勉強カフェというネーミングが出来るまでのあれこれ

bookmarks_092008年に1号店を開店させてから4年半が経過しました。今でこそ当たり前のように「勉強カフェ」と名乗っているのですが、ここだけの話、最初から「勉強カフェ」とは名乗ってなかったんです。開店から2ヶ月間は社名がそのまま店名だったのです。その名残りは「1号店のメンバーズカード」にのみ残っています。表を見ても裏を見ても、いまだに勉強カフェの「べ」の字も出て来ません。(ちなみにそのカードも残り50枚くらいなので、レア度アップ!欲しい方は今のうち1号店で入会どうぞ!!なんて。)

とにかく開店したはいいのですが、まったくお客様が来ない。というか見学者すら全く来ない。そりゃそうです。今でこそ各地に似たような施設も増えましたが、当時はどこにも類似したお店が無いコンセプト。他にないのだからイメージも湧きません。情報はホームページがあるだけ。おまけにどこにあるかも分かりづらい。外から中の様子を伺うことも出来ない雑居ビルの3F。さらにエレベーターを下りてもなお、中を伺えない重厚なエントランスウォール。うーん、超入りづらいわー。僕なら帰るかも(笑)

そんな状況で開店したので、さぁ大変です。大風呂敷を広げて!金融機関から融資を受けた運転資金は枯渇する一方。営業しないといけないけど、お店に居ないといけないので外に行くことも出来ない。でも続けるためには、どうにかして認知を広げなければいけない。そんなとき、「◯◯カフェ」というのがメディアで良く取り上げられていたんですね。メイドカフェとか猫カフェとかそういうやつです。で、「ウチも◯◯カフェ」にしたら敷居を下げることが出来るのではないか?と考えたわけです。

それから考えました。名前には想いをこめたくなるもの。子どもの名付けと同じです。で、誕生したのが新生「progress cafe」!
progress、この言葉がピッタリなんですよ。前進するとか進歩とか発展とかそういう意味です。僕はこの空間をただの有料自習室ではなく、使ってくださるお客様がこの空間での勉強や出会いをキッカケに人生ガラリと変えちゃう、そんなのを期待して作ったので、まさにこのprogress cafeは理想の名前だったんです。

で、この第二形態。これで敷居も下がりお客様が少しづつ来るように!・・なんて世の中甘くないんですよね。状況はまったく変わらず日に日に運転資金が減る一方。そんなある日。ブログを通じて知り合った方が遊びに来てくれたんです。本当に誰も来ない毎日だったなか、来てくれたお客様。ラウンジで3時間くらいずっと話をしていたのですが、ふとこんな質問を受けたんです。

「あの、、progress ってどんな意味なんですか?」

この方がお帰りになられたあと、この質問がずっと頭に残っていました。確かにprogressっていきなり聞いて意味まで分かる方は少ない。よく考えたら自分も辞書で調べて探していたくらいです(笑)情報に溢れたこの時代、そんな言葉を使った名前のお店がみんなの印象に残るだろうか?いや、残るはずがないのです。想いを持ってお店をやること、これは全く間違っていないんですが、想いに囚われすぎてしまっていた。このままでは駄目だ。開店して3ヶ月ほど、ようやくそのことに気づいたのです。

そこでその晩、一人で考えました。「この空間は一体何なんだろう。。。」簡単な言葉、誰でも知っている言葉にブレイクダウンしていき、出てきたのが「勉強」。勉強なら知らない人はさすがにいない。それに「カフェ」をつけてみたら「勉強カフェ」。念のためGoogleとかで検索してみたら誰も使っていない。そう、この瞬間こそ「勉強カフェ」の完成の瞬間でした。その日のうちにホームページをしれっと書き換え、最初から勉強カフェだった風に(笑)

人は失うものがなくなると大胆に動けるものです。僕もこの時、この「勉強カフェ」のインパクトに賭けたのです。「名前がカッコ悪い」「そのまんますぎる」「前の名前のほうが良かった」・・色々散々に言われました(笑)でもいいんです。とにかく初めて見た時、初めて聞いた時に「え?何それ??」って思ってもらうことこそ大事であると考えました。

このネーミングの変更だけではないのですが、しかしこの変更は大きな転換になりました。まずはメディアに採り上げてもらえるようになったこと。そして検索からの流入が決定的に増えたのです。まさに「勉強カフェ」のネーミングさまさまです。

そんな「勉強カフェ」。当時の会員の皆様から、早く商標登録するように心配をいただきながら、なんとか取得して今に至ります。がしかし、ここだけの話、この名前、好きかと自問自答すると、やっぱり好きじゃない(笑)progress cafeの方がスマートで好みです。では、何が好きじゃないのか。「勉強という言葉から一般的に連想されるイメージ」が嫌いなのです。

皆さまは「勉強」という言葉からどんな「画」をイメージされますか?
辞書では、こう書かれています。

べん‐きょう【勉強】
[名](スル)
1 学問や技芸などを学ぶこと。「徹夜で―する」「音楽を―する」
2 物事に精を出すこと。努力すること。
「何時までもこんな事に―するでもなし」〈福沢・福翁自伝〉
3 経験を積むこと。「今度の仕事はいい―になった」
4 商人が商品を値引きして安く売ること。「思い切って―しておきます」

確かにそうです。
しかし、思い浮かべる画像は、どちらかと言うと、「一人で黙々と机に向かっている自分」ではないでしょうか。中国語では「勉強」は物事を強制するという意味合いになるそうです。確かに、「強(し)」いて「勉(つと)」めると書いて、『勉強』と書きますもんね。そんな「勉強」に対する世間一般のイメージ。それを奨めている場所。文字面だけ見て、そう取られるのが嫌なのです。

果たして、勉強は強いて勉めることなのでしょうか。確かに、自習も大切なことですよ。一人で着々と積み重ねることも重要です。そしてそれは受験勉強のように、辛いものであることもあります。何かを得るためには苦労はつきものです。でも勉強って、それだけじゃない。むしろ自分の外から、他人から、学ぶことのほうが圧倒的に多いのです。そしてそれは、強制されてやることではないのです。勉強は誰に言われて強制的にやるものではなく、自らの意志で行うものです。幸いな事に、我々の提供する勉強カフェを通じて、そこに気付き、大きく飛躍される会員さまがいらっしゃる事自体が、私たちの志向する方向性が間違っていないんだということを証明してくださっています。

というわけで、逆説的ですが、一般的な「勉強」のイメージを壊す存在が「勉強カフェ」でありたいと常々思っております。

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: 2013/05/31 |

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